占い

天山遯

てんざんとん

意味

天山遯は、中国の古典『易経』の第33卦で、不利な状況から退く時機と姿勢を象徴します。遯は退くという意味です。対立が続く場面などで、守りたい原則を定め、距離の取り方を考える卦として解釈されます。

解説

卦(か)は、六本の線を重ねた図形です。天山遯では、山を表す艮(ごん)の三本を下に、天を表す乾(けん)の三本を上に置きます。中央が切れた線が陰、切れ目のない線が陽です。六本は下から陰・陰・陽・陽・陽・陽と並び、上下の組合せから天山の名が付いています。

卦全体に付く卦辞(かじ)は、退くことで物事が通じる可能性を示しています。その意味を解説する『彖伝』(たんでん)が重視するのは、時に応じた行動です。下の陰が次第に伸びる形を、勢力関係が変わる状況に重ね、正面から進み続ける以外の道を示します。陰陽の配列は図形の事実であり、そこから撤退の時機を導くのは古典の解釈です。

図形を解説する『象伝』(しょうでん)は、天の下に山がある姿を、相手と距離を保つ態度へ結び付けます。ここで登場する君子(くんし)は徳を備えた人、小人(しょうじん)は徳に乏しい人を指す、古典の道徳的な呼び名です。君子は小人への憎しみをぶつけず、自分の厳正さを保って遠ざかると説かれています。現代の対人関係に応用するなら、相手への人物評価と、自分が受け入れられる言動の範囲を分けることが大切です。

各線に付く爻辞(こうじ)は、退く時の条件をさらに描き分けています。最下段では、退く列の後方にいる危うさを示し、むやみに先へ進むことを戒めます。一方、下から五本目は、正しい志を保って退く姿をよいとする文です。退くという結論だけで判断を終えず、動く時機や、今の立場で取れる方法を確かめる根拠になります。

たとえば、共同作業で意見の衝突が続いている時には、会議を一度区切る、担当範囲を相談する、といった対応が現代の応用例です。距離を置く間の連絡方法や、再び話し合う日時を決めておくと、退いた後の役割も明確になります。関係を続けるか離れるかは、実際のやり取りや負担を踏まえて選ぶ事柄です。占いの結果だけで相手の人格や将来の関係を決めつけることはできません。