象徴
ヴェルディグリ
ゔぇるでぃぐり意味
ヴェルディグリは、塩基性酢酸銅を主成分とする、青みを帯びた緑色の歴史的顔料です。銅の表面にできる緑色の腐食物一般も同じ名で呼ばれてきましたが、保存科学では成分を分けて考えます。
解説
塩基性酢酸銅は、銅と酢酸が反応してできる銅化合物です。酢酸は酢の酸味に関わる酸で、歴史的には発酵中のブドウの皮の上へ銅板を置き、表面に生じた青緑の層を集める方法がありました。ヴェルディグリは、こうして作った顔料の材料名です。
一方、屋外の銅、真鍮、青銅の表面に生じる緑色のパティナは、しばしばヴェルディグリとも呼ばれます。しかし、現代の保存科学では硫酸銅、塩化銅、塩基性炭酸銅など、環境によって異なる腐食生成物を指す場合があります。緑青やパティナという見た目の名称だけでは、塩基性酢酸銅の顔料だと断定できません。
ヴェルディグリは、油彩で緑から黒へ変わったり、水彩で色が弱くなったりする例のある顔料です。紙と反応することもあるため、画面の緑は周囲の顔料、結合材、支持体、保管環境との関係で変化します。米国ナショナル・ギャラリーは、変化しやすい性質が知られていても、多様な緑を作るためにこの顔料が重要だったと説明します。変色を見ても、原因を顔料名だけの結論にはできません。
材料調査では、蛍光X線分析で銅が見つかっても、ヴェルディグリだけを示すわけではありません。蛍光X線分析は元素を調べる方法で、銅を含む緑にはマラカイト、銅の塩化物、硫酸塩などもあります。赤外分光、ラマン分光、粒子観察、絵具層の断面、制作記録を重ねて、候補を絞ります。
占いや創作でヴェルディグリを読むなら、銅の表面や絵具層が条件によって別の見え方へ移ることから、変化を急いで結論にせず、何が作用しているかを見る問いへつなげられます。これは材料の履歴を手掛かりにした表現上の読みです。銅の緑が出来事の意味を保証するわけではありません。