神話

ハトホル

はとほる 別名:Hathor

意味

ハトホルは、古代エジプトで愛情、音楽、母性、天空、死者の保護などに関わった女神です。長い時代にわたり各地で信仰されたため、役割や姿は一つに限られません。牝牛、あるいは牝牛の角と太陽円盤を頭に載せた女性として表されます。

解説

ハトホルの像には、シストラムを持つものがあります。シストラムとは、枠に通した金属棒や薄い金属板を振って音を鳴らす、ラトルに近い祭祀用の楽器です。ハトホルの祭礼では、その音が音楽や祝祭、神をなだめる儀礼と結びつきました。

ハトホルとセクメトは、太陽神の力が穏やかな時と荒ぶる時を説明する神話の中で結びつきます。セクメトは太陽神の怒りを体現する獅子頭の女神であり、その怒りが鎮まるとハトホルになると語る伝承もありました。二柱は常に同じ女神とされたわけではありませんが、破壊的な力が鎮まり、生命や喜びが戻る過程を示す場面で関係します。

また、ハトホルは「西方の女主人」と呼ばれ、死者を迎える女神でもありました。ここでいう西方とは、古代エジプトで太陽が沈み、死者の国へ続くと考えられた方角です。この役割まで含めると、ハトホルが愛や音楽にとどまらない多面的な女神だったことが分かります。