哲学・心理
実践知
じっせんち 別名:practical wisdom・phronesis・フロネーシス・実践的知恵意味
実践知は、変わり得る具体的な状況についてよく熟慮し、人がよく生きることにかなう行為を選ぶ知的な徳です。アリストテレスのフロネーシスの訳で、一般原則の知識に加え、重要な事情を見抜き、目的と手段を一緒に吟味する判断力を指します。経験、人格上の徳、他者との検討を通じて育つ能力です。
解説
アリストテレスは実践知を、人間の善に関わり、行為によって変えられる事柄をよく熟慮する能力として論じました。数学のように変わらない対象を証明する知識と違い、実践知が向き合うのは、事情によって別の展開があり得る行為です。そのため一般的な原則と、今ここで誰が何を必要とし、何が可能かという個別の事実の両方を捉えます。
実践知の対象は行為であり、物を作る技術や、変わらない対象を知る理論知とは目的が異なります。制作では完成した物が目的になりますが、実践知では適切に判断して行うこと自体が問題です。一般原則の知識を実践知へ結ぶには、どの事情が判断を変えるかを見抜く力が要ります。経験は、似た状況の違い、言葉が相手へ与える影響、途中で方針を変える合図を学ぶために必要です。
実践知には、効率よく手段を見つける能力に加え、目的の善さを見極める働きが必要です。アリストテレスは、人格上の徳が目的を正しい方向へ向け、実践知がその目的へ至る手段を考えるという関係を示しました。害を生む目的へ効率的な手段を見つける器用さと、何が人間の善にかなうかを含めて熟慮する実践知を分けます。感情、習慣、他者への関心も、状況の重要な点に気づく判断へ影響します。
相談サービスで実践知を働かせる時は、規約や倫理原則を出発点にしながら、本人の希望、理解、危険、権力差、契約、提供者の能力を具体的に確かめます。BACPの倫理枠組みは、本人の視点を聞き、必要に応じて監督者や同僚と検討し、法的・契約上の義務と倫理原則を照合し、判断と行動を記録する過程を示しています。この手順は、個別事情を含めて判断する現代の専門職実務の例です。アリストテレスの実践知との関係は、一般原則と個別事情を結ぶ点に限って示します。
タロット相談で事実として確かめられるのは、本人が語った事情と希望、契約、期限、安全情報、提供者の能力、実際に出たカード、相談中の反応です。カードから本人に最適な目的、隠れた事情、将来の結果を読む部分は占術上の解釈に当たります。どの原則が関係し、どの具体的な事情によって対応を変える必要があるでしょうか?解釈は判断の補助に置き、事実を追加で確かめ、相談、休止、紹介、記録を含む実行可能な対応を選びます。