神話

アラクネ

あらくね

意味

アラクネは、オウィディウスの『変身物語』第6巻で、女神ミネルウァと機織りを競い、蜘蛛へ変えられたリュディアの女性です。高い技術を持ちながら、神々の欺きを織物に描いたことで女神の怒りを受けます。

解説

アラクネは、紫色の染色を仕事にする父のもとに生まれ、自分の技術だけで名声を得た織り手です。ミネルウァはギリシャ神話のアテナに対応し、織物をつかさどる女神でもあります。老女に姿を変えた女神が敬意を促しても、アラクネは競技を望み、二人はそれぞれの織物を作り始めました。

ミネルウァは神々の威厳と、神に挑んで罰を受けた者たちを描きます。一方、アラクネが選んだ題材は、神々が姿を変えて人間の女性を欺いた場面でした。オウィディウスは、アラクネの作品には非難できる欠点がなかったと記します。女神は織物を裂き、道具でアラクネを打ちました。アラクネが首をつると、女神は命を救ったうえで蜘蛛の姿へ変えます。

この物語を「傲慢だったため競技に負けた」とまとめると、本文とは食い違います。機織りの技術は否定されず、衝突を決定づけたのは、神々の不正を題材に選んだことでした。変身後のアラクネは、蜘蛛の姿で糸を出し、織る動作を続けます。この結末によって、アラクネの名、織り手としての生涯、蜘蛛の巣が一つの起源譚に結ばれました。後世の版画にも変身の場面が描かれ、技術、表現内容、権威からの処罰が重なる物語として受け継がれています。