神話
エコー
えこー意味
エコーは、オウィディウスの『変身物語』第3巻で、自分から話し始められず、相手が発した言葉の末尾だけを返す山のニンフです。ナルキッソスへの思いを伝えられないまま拒まれ、身体が消えて声だけになる展開が、山に響く反響を人格のある物語として表します。
解説
罰を受ける前のエコーは、自分の言葉で長く話せるニンフでした。ユピテルが山のニンフたちと会っている時、妻ユノが訪れると、エコーは会話を引き延ばし、その間にニンフたちを逃がします。欺かれたと知ったユノは、エコーが自分から話す力を奪い、相手の発言が終わった後に短い言葉を返すことだけを許しました。
森でナルキッソスを見つけたエコーは、声を掛けられるまで待ち、彼の言葉を繰り返しながら自分の思いを重ねます。姿を現して抱き付こうとしますが、ナルキッソスは彼女を拒みました。エコーは洞窟へ隠れ、やせ衰えて、やがて骨は石に、身体は声だけになります。その後もナルキッソスが水面の像へ届かない恋をして死ぬ時には、彼の嘆きと別れの言葉を返しました。
エコーの来歴は、オウィディウスの物語だけではありません。ロンゴスの『ダフニスとクロエ』では、エコーは歌と楽器に優れた娘です。求愛を退けられた牧神パンが牧人たちを狂わせ、彼女の身体を引き裂かせますが、大地がその歌を残すため、声は人や楽器の音をまね続けます。どちらの伝承も反響を声の残存として語る一方、声を失う原因と関係する相手は異なります。よく知られたナルキッソスとの物語は、古代にあった複数の説明の一つです。