神話

ナルキッソス

なるきっそす

意味

ナルキッソスは、オウィディウスの『変身物語』第3巻で、求愛者たちを拒み続けた末、水面に映る自分の像へ恋して死ぬ青年です。届かない相手を愛するよう願った求愛者の祈りをネメシスが聞き届けたことで起こり、死後、その場所には白い花弁と黄色い中心の花が残ります。

解説

ナルキッソスは、河神ケピソスと、泉に宿る女性精霊レイリオペの子です。母が息子の寿命を尋ねると、予言者テイレシアスは、自分自身を知ることがなければ長く生きると答えました。成長したナルキッソスは、エコーをはじめ、女性と男性の求愛者を拒みます。そのうち一人が、自分も愛するものを得られないようにと神々へ願い、報いを司る女神ネメシスが祈りを聞き届けました。オウィディウスは、祈った人物の名を記していません。

狩りと暑さに疲れたナルキッソスは、人や動物が触れていない澄んだ泉へ身をかがめます。初めは水面の像を別の人物だと思い、口づけようとしたり、腕で抱こうとしたりしました。しかし、表情や身ぶりが自分と同時に動くことから、見ている相手が自分自身だと悟ります。それでも水辺を離れられず、食事も休息も取らないまま衰えていきました。

最期にナルキッソスが別れを告げると、エコーも同じ言葉を返しました。水辺のニンフと森のニンフたちが葬儀を整えようとした時、身体は消え、その場所に白い花弁と黄色い中心を持つ花が残ります。2世紀の旅行記作者パウサニアスは、この青年より古い詩にもナルキッソスの花が現れるとして、花自体は以前からあったと指摘しました。この変身譚の中心は、青年の名と花を結ぶ神話上の記憶です。花の植物学的な起源は、別の資料で確かめる必要があります。