神話
コルキス
こるきす意味
コルキスは、古代ギリシャ・ローマの文献が黒海東岸、現在のジョージア西部に置いた地域名です。『アルゴナウティカ』ではアイエテス王の国となり、イアソンとアルゴナウタイが目指す金羊毛の保管地として描かれます。
解説
アポロニオス・ロディオスの『アルゴナウティカ』で、アルゴ船は黒海を東へ進み、パシス川からコルキスへ入ります。川の一方にはカウカソス山脈と王都アイア、もう一方には軍神アレスの聖なる森がありました。金羊毛は森の樫に掛けられ、眠らない大蛇が見張っています。
王アイエテスは金羊毛を求めるイアソンに、火を吐く牡牛を使って畑を耕し、竜の歯をまく試練を課しました。王女メデイアは薬草と祭儀の知識を持つヘカテの巫女で、イアソンが試練を越えるための薬と手順を教えます。やがて大蛇を眠らせて金羊毛を取る手助けをし、自分の家族と故郷を離れてアルゴ船に乗りました。コルキスは宝を得る目的地であると同時に、メデイアが失う故郷でもあります。
神話の舞台に実在地域の名が使われていても、地域史は文献と発掘資料から確かめる必要があります。現在のジョージア西部にあるヴァニで、紀元前5世紀半ばから前3世紀半ばの有力者の墓から出土したのは、現地で作られた金製品です。ストラボンは、山地の川が運ぶ金を羊皮で集めたことから金羊毛の物語が生まれたという古代の説を紹介しました。これは成立を説明する一説に当たります。発掘資料が示すのは地域の金工文化で、神話の起源にはなお別の検証が必要です。