神話
ドゥムジ
どぅむじ 別名:Dumuzi・Tammuz・タンムズ意味
ドゥムジは、羊飼いとして語られる古代メソポタミアの神です。愛と戦いの女神イナンナの夫とされ、彼女が冥界から帰る代わりに、身代わりとして連れ去られる物語で知られます。
解説
『イナンナの冥界下り』では、死者の世界である冥界から地上へ戻る条件として、イナンナに身代わりが求められます。彼女は、自分の死を悼んだ者たちを守りました。一方、立派な衣で王座に座るドゥムジを見つけると、彼を追っ手に引き渡します。夫婦の結び付きが、ここでは一方の帰還と他方の喪失という形で描かれるのです。
物語の終盤には欠損がありますが、残る本文にはドゥムジとその姉が半年ずつ交替する取り決めが記されています。姉は、別の物語にも登場するゲシュティンアンナです。冥界下りの結末では名前が省かれているため、姉弟の関係はほかの作品や研究も合わせてたどる必要があります。半年の交替を季節の変化に重ねることはできますが、この結末だけでは、どの季節に誰が冥界にいるかまでは分かりません。
別のシュメール語の物語『ドゥムジの夢』では、ゲシュティンアンナが弟の不吉な夢を解き、追っ手から守ろうとします。夢に現れるのは、羊の囲い場や、乳を加工する容器が倒れる光景です。ドゥムジの死は、家族の悲しみと、牧畜の暮らしが途切れる様子を通して語られます。作品ごとに誰が助け、何が失われるかをたどると、死と帰還という要約だけでは捉えきれない物語の違いが分かります。