象徴
イドゥンの林檎
いどぅんのりんご 別名:Idunn's apples・Idun's apples・Iðunn's apples意味
イドゥンの林檎は、『散文のエッダ』でアース神族の若さを保つ果実です。アース神族は北欧神話の神々の集団で、イドゥンが箱に保管する林檎を神々が老いを感じた時に食べるため、果実は女神の役割と切り離せません。
解説
『ギュルヴィたぶらかし』第26章では、イドゥンは詩の神ブラギの妻として登場し、トネリコの箱に林檎を守ります。神々は年を取るとその林檎を食べ、再び若くなると語られます。本文は、神々が若さを保つためにこの林檎を必要とする場面を伝え、人間が不老を得るとは記していません。
この条件が危機になるのが、『詩語法』に語られる巨人スィアチの連れ去りです。鷲の姿をしたスィアチは、ロキを解放する代わりに、イドゥンを林檎とともにアースガルズの外へ誘い出すよう約束させます。ロキが森へ連れ出すと、スィアチは女神を自分の住むスリュムヘイムへ運び去り、イドゥンを失った神々はすぐに白髪になって老います。
神々に責任を問われたロキは、フレイヤの鷹の羽衣を借りてスィアチのもとへ飛びます。留守の間にイドゥンを木の実の姿へ変え、つかんでアースガルズへ戻りました。追ってきたスィアチは鷲の姿のまま城壁の火に阻まれ、イドゥンと林檎が戻ることで神々は老いを防ぐ手段を取り戻します。
若さ、回復、生命力の象徴として読む場合は、物語で若さが果実の保管と帰還に左右される点が手掛かりです。ただし、これは神話の筋から導く読み方です。実在の林檎の栄養や健康効果、特定の人に若返りを約束する効能は、『散文のエッダ』の記述とは別に確かめる必要があります。