哲学・心理
リビドーの退行
りびどーのたいこう意味
リビドーの退行は、ユング心理学で、現在の課題への対応が行き詰まり、心の活動が以前の対応の仕方へ戻ることです。リビドーは、関心や欲求の動きを説明する心的エネルギーの呼び名です。
解説
心理学者ユングは、退行によって、普段は意識されていない願いや空想が強まると考えました。その内容には、今の考え方で見落としていた感情や判断の仕方が含まれる場合があります。それらに気づくことが、新しい対応へ進むきっかけになるという説明です。ただし、この可能性と、苦しい経験が必ず成長につながるという主張は別です。
退行を、内面へ関心を向ける「内向」と同じ意味にすると、概念の範囲を取り違えます。ユングは、外との関わりから退く形に加え、外の刺激を過度に追う形の退行も述べました。内向と外向は関心の方向、進行と退行は適応の過程を表すため、活動量の多さや一人で過ごす時間だけでは判定できません。
日常を振り返るなら、何に困った時に、どのような以前の反応が繰り返されたかを考えると具体的になります。カードから過去を連想することも、その振り返りのきっかけにはなるでしょう。休息、創作、思い出への没頭を一律に退行と決め付けると、それぞれの事情を見落とします。カードの意味と、本人が実際に経験していることを分ける必要があります。