象徴

四大陸の寓意

よんたいりくのぐうい

意味

四大陸の寓意は、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカを人の姿で表した美術の主題です。近世ヨーロッパで広まり、主に女性像の服装や持物、そばにいる動物によって地域を表しました。

解説

寓意とは、あるものの姿を借りて別の意味を表すことです。この主題では、広い地域を一人の人物などに置き換えます。四という数は、当時のヨーロッパで用いられた世界の分け方に基づきます。アメリカ大陸についての知識が広まると、従来のヨーロッパ、アジア、アフリカにアメリカを加えた組合せが定着しました。十六世紀から十九世紀にかけて、地図や版画、彫刻などにこの主題が見られます。

たとえば十六世紀末の版画《アメリカの寓意》には、羽飾りを着け、弓と矢筒を備えた女性が描かれています。彼女がまたがるのは、硬い甲で体を覆われた動物、アルマジロを大きく描いた姿です。人物の持物や周囲の動物は、当時のヨーロッパの観客に特定の地域を連想させる目印になっています。

似た姿や持物が作品を越えて繰り返される背景には、画家たちが参照した図像の手引書があります。イタリアの著述家チェーザレ・リーパが一五九三年に刊行した『イコノロジア』もその一つです。人の姿や持物で概念を表す方法をまとめ、一六〇三年の挿絵入りの版などを通じて、後の美術家に影響を与えました。

ただし、こうした地域像には、交易への関心とともに植民地支配を正当化する偏見が含まれています。図の装いや動物を現地の暮らしへそのまま当てはめると、作者側の思い込みまで事実として受け取ることになります。人物が何を持っているかに加え、誰が作品を注文し、各地域をどう位置付けたかにも注目すると、作品に表れた権力観を考えられるでしょう。