神話

アリアドネの発見

ありあどねのはっけん

意味

「アリアドネの発見」は、ナクソス島に残されたクレタ王女アリアドネのもとへ、酒神ディオニュソス(ローマ名バッカス)が現れる場面を表す神話図像です。海辺の女性、遠ざかるテセウスの船、酒神と従者の行列、冠または星が識別の手掛かりです。

解説

オウィディウスの『変身物語』第8巻では、テセウスがアリアドネをナクソス島へ残し、嘆く彼女をバッカスが見つけます。神は彼女の冠を天空へ投げ上げ、その宝石はかんむり座になりました。一方、フィロストラトスの『エイコネス』では、ディオニュソスは眠るアリアドネを見つめます。眠っているか、目覚めて嘆いているかは、資料と作品によって異なる点です。

ティツィアーノの《バッカスとアリアドネ》では、アリアドネが遠ざかるテセウスの船から振り返り、二頭の獣が引く車からバッカスが跳び出します。右側ではサテュロスや酒神の従者が進み、アリアドネの頭上には輪を描く星が置かれました。一画面の中で、船は直前の別離を、跳ぶ神は現在の出会いを、星は後に起こる冠の星座化を示しています。

横たわる女性だけでは、アリアドネと断定できません。海上の船、蔦の冠や大型ネコ科の獣と結び付くディオニュソス、酒神の一行を合わせて見ると、発見の場面を識別できます。冠や星は、アリアドネが神との出会いを経て天上の名を得る結末を先取りする図像です。