神話

バッカスの勝利

ばっかすのしょうり

意味

バッカスの勝利は、酒神バッカスが遠征から戻る凱旋を、豹に乗る姿や、大型ネコ科の獣が引く車と従者の行列で表す図像です。葡萄冠、杯、楽器、動物の毛皮が酒神の一行を見分ける手掛かりになります。

解説

この主題は、バッカス(ギリシャ名ディオニュソス)が葡萄酒を広めたインド遠征から帰る物語と結び付きます。後世の図像では、松かさを頂く杖テュルソスを持つ神、熱狂して従う女性マイナス、動物の耳や尾を持つサテュロス、老いた従者シレノスが、踊りや演奏を伴って進みます。

メトロポリタン美術館が所蔵する紀元260〜270年頃のローマ石棺では、豹に乗るディオニュソスが中央に座り、四季の擬人像と酒神の従者が周囲を埋めています。別の石棺や絵画では、豹や虎が引く車上に神を置く構図も見られます。神が豹に乗るか、獣の引く車に乗るか、徒歩で進むかは作品ごとの差です。葡萄、テュルソス、従者、楽器を併せて見ると、この主題を見分けやすくなります。

ベラスケスの1629年作《酒飲みたち、またはバッカスの勝利》は、樽に腰掛けた半裸の神が、ひざまずく青年へ蔦冠を授け、質素な服の男たちと酒を囲む構成です。プラド美術館は、神話への戯画、酒がもたらす慰め、詩と蔦冠の関係という複数の解釈を紹介しています。この作品を見分ける手掛かりは、葡萄冠とサテュロス、神が冠を授ける動作です。古代石棺の行列形式を、神と同時代の酒飲みたちが向き合う場面へ置き換えています。