神話

ヘメラ

へめら

意味

ヘメラは、ヘシオドスの『神統記』で昼そのものを人格化する原初女神です。夜の女神ニュクスと暗闇の神エレボスから生まれ、ニュクスと同じ家を交互に出入りする姿で昼夜の移り変わりを表します。

解説

『神統記』では、最初のカオスからエレボスとニュクスが生まれ、二神の間にアイテルとヘメラが生まれます。アイテルは神々の領域を満たす明るい上空、ヘメラは地上を照らす昼を人格化した存在です。暗闇と夜から明るい上空と昼が生まれる系譜によって、宇宙の明暗が親子関係として組み立てられています。

世界の西の果てでは、ニュクスとヘメラが大きな館を共有し、青銅の敷居で互いに挨拶を交わします。一方が館へ入ると、もう一方が地上へ向かい、二人が館にいる時間は交互に訪れます。これは、夜が去ると昼が来て、昼が去ると再び夜になる一日の循環を、二女神の往来として説明する場面です。

ヘメラは昼、エオスは曙、ヘリオスは太陽を人格化します。ヘシオドスはエオスとヘリオスを、ティタン神族のヒュペリオンとテイアの子としており、ヘメラとは系譜も役割も異なります。メトロポリタン美術館の紀元前500年ごろの壺には、去るニュクス、到来を告げるエオス、昇るヘリオスが描かれ、人物名も記されました。この壺の銘は曙の女神エオスを指すため、ヘメラの確実な図像資料として扱うには慎重さが必要です。