神話

オデュッセウス

おでゅっせうす 別名:Odysseus・Ulysses・ユリシーズ

意味

オデュッセウスは、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』の主人公です。イタケの王で、父はラーエルテスとされます。トロイア戦争後の帰郷をめざし、知略、変装、忍耐を用いる一方、自尊心から危機を広げる姿も描かれます。

解説

『オデュッセイア』第9歌で、本人は「ラーエルテスの子オデュッセウス」と名乗り、数々の策で知られること、故郷はイタケであることを語ります。女神カリュプソやキルケに引き止められても、豊かな異郷より故郷を望みました。物語の中心には、怪物との対峙に加え、自分の名と家を取り戻す過程があります。

キュクロプスのポリュフェモスには「誰でもない」と偽名を告げ、仲間とともに相手の目をつぶしたあと、羊の腹側に隠れて洞窟を脱出します。偽名のため、助けを求める声は「誰にも襲われていない」と受け取られました。ところが船へ戻ったオデュッセウスは仲間の制止を聞かず本名を叫び、ポリュフェモスが父ポセイドンへ帰路の困難を祈るきっかけを作ります。策の鋭さと判断の危うさが、同じ逸話の中に表れています。

第8歌では、木馬を作ったのはエペイオス、女神アテナの助けを受けて木馬を城内へ運び込む策を率いたのはオデュッセウスと歌われます。帰郷後の第23歌では、オリーブの幹を柱にして自ら作った寝台の秘密が、妻ペネロペとの再会を確かめる証拠になりました。人物像を読むには、成功した策、失敗、戦争の記憶、家族との関係を原典ごとに追う必要があります。