神話
ナンナ/シン
なんなしん 別名:Nanna・Suen・Su'en・Sin・Sîn意味
ナンナ/シンは、月の満ち欠けと暦に関係し、都市ウルの守護神となったメソポタミアの月神です。ナンナは主にシュメール語、スエンまたはシンは主にアッカド語で使われる名で、両名は早い時期から同じ神を指して併用されました。代表的な標章は三日月です。
解説
南メソポタミアのウルには、ナンナを祭る大きな神殿域が築かれました。北方のハランでも古バビロニア期からシンの祭祀が確認され、長い期間にわたり二つの都市が重要な拠点になります。ナンナとシンという複数の呼び名は、地域、言語、時代に応じて重なりながら使われました。
月相は夜ごとに変わり、ひと月の日数を数える目印となります。この関係から、ナンナ/シンは神を表す数として三十を割り当てられました。主要な標章は三日月で、横向きの月は牡牛の角にも見立てられます。円筒印章や境界石に描かれた人物の同定には、三日月とともに、周囲の銘文やほかの標章も手がかりとなります。
代表的な神々の系譜では、ナンナ/シンはエンリルとニンリルの子、女神ニンガルの夫、太陽神ウトゥと女神イナンナの父です。シュメール語物語『ナンナ・スエンのニブルへの旅』では、船に家畜や産物を載せ、両親を訪ねるためウルからエンリルの都市ニブルへ向かいます。月神、都市間の河川交通、神殿へ届ける供物が一つの旅に結びついた物語です。
ナンナ/シンの祭祀と神話は二千年以上に及び、家畜、王権、占星術などとの関係も時代ごとに発展しました。三日月から再生や直感を読むのは現代の象徴解釈です。古代資料では、月相、暦、神々の系譜、都市祭祀との関係を確かめられます。このサイトでは、少しずつ姿を変えながら周期を作る月を、進み具合を測ること、同じ区切りへ戻って記録を見直すことの題材とします。