石
複屈折
ふくくっせつ 別名:birefringence・double refraction意味
複屈折は、光の振動方向や進む向きによって物質の屈折率が異なる性質です。異方性の結晶へ入った光は、互いに直交する方向へ振動する二つの光に分かれます。二つの屈折率の差も複屈折と呼び、宝石や鉱物の鑑別に用います。
解説
屈折率がどの方向でも同じ物質を光学的に等方性、方向によって変わる物質を異方性と呼びます。異方性の結晶へ入った光は二つの偏光成分に分かれ、それぞれ異なる屈折率を経験します。その速度差は進路や位相の差として現れ、同じ波長で測った高い屈折率と低い屈折率の差が複屈折の値です。
一軸性結晶の複屈折は、通常光と異常光という二つの成分で説明できます。通常光の屈折率は進行方向によらず一定ですが、異常光は結晶内を進む向きによって屈折率が変わる性質です。ただし光軸と呼ばれる特定の方向では二つの屈折率が一致し、二つの成分は同じ進路に重なります。複屈折を持つ石でも、観察方向によって現れ方が変わります。
透明な方解石を文字の上に置くと、文字が二つに見える場合があります。方解石は二つの屈折率の差が大きく、二本の光の進路が十分に離れるためです。差の小さい石、薄い試料、光軸に近い向きでは、肉眼で見える二重像が不明瞭になります。二重像の見え方は、複屈折の大きさ、試料の厚さ、観察する向きによって変わります。
宝石鑑別では、屈折計で得た二つの値の差や、ルーペで見たファセット稜線のダブリングが手掛かりになります。偏光顕微鏡の直交ニコル下で現れる干渉色も複屈折に関係し、色の次数は試料の厚さと結晶方位でも変わります。多色性は方向によって光の吸収量が異なり、色が変わる現象です。測っているのは光の吸収差で、二つの屈折率の差とは別の性質です。
一つの光が二つの成分として進む姿から、複屈折を複数の視点や同時に成立する見方へ重ねることがあります。これは光学現象から導く現代的な比喩です。占いでは、同じ出来事を誰と誰が異なる屈折率で見ているのか、視点の差は事実、目的、時間軸のどこにあるのか、光軸に相当する共通条件は何かへ問いを進められます。二重像を迷いや二面性の証拠へ直結させる解釈は避けます。