象徴

シエナ

しえな

意味

シエナは、針鉄鉱を中心とする水和酸化鉄、粘土、少量のマンガン化合物を含む、黄褐色の天然土性顔料です。イタリア中部のシエナに由来する名で、加熱して赤褐色を強めたものはバーントシエナと呼ばれます。

解説

針鉄鉱は、鉄を含む黄褐色の鉱物です。シエナではこの鉱物が主な色に関わり、粘土、アルミナ、石英、マンガン化合物などが一緒に含まれます。土から採れる顔料なので、産地、採取層、粒子の選別によって色、透明感、隠ぺい力は変化します。

シエナという名は、良質な顔料を産したイタリアの都市名に由来します。しかし、現在の画材名がその土地から採れた土を示すとは限りません。天然の土性顔料、合成酸化鉄、複数の色材を混ぜた製品が同じ色名で売られることもあるため、材料を特定する時は顔料番号、成分表示、結合材、製造元の記録を突き合わせます。

ローシエナは加熱前の黄褐色の土を指し、バーントシエナは原料を加熱して赤褐色を強めた顔料です。加熱すると、鉄を含む鉱物の状態が変わります。同じシエナ系でも、色名だけでは未焼成か焼成か、天然か合成かを決められません。

CAMEOは、シエナを透明感のある絵具の層やグレーズに使われる土性顔料として整理しています。グレーズは、下の層を透かして見せる薄い半透明の塗膜です。肌や木、土の色に使われた場合も、顔料名だけで役割を決めず、どの層にどの結合材で置かれているかを確かめます。

作品調査では、蛍光X線分析で鉄とマンガンの情報を得ても、シエナだけを示すとは限りません。粒子の観察、ラマン分光やX線回折による鉱物の確認、ほかの土性顔料との比較、制作記録を重ねることで、シエナの可能性を検討できます。黄色や茶色の見た目は、材料名の出発点であって結論ではありません。

占いや創作でシエナを使うなら、同じ土でも採取地と加熱で色が変わることから、今いる場所と経験の積み重ねが表現をどう変えるかを考える比喩にできます。これは土性顔料の成り立ちから広げた表現上の読みです。土地や色が人の性格を決めるという事実にはしません。