象徴
土性顔料
どせいがんりょう意味
土性顔料は、天然の土や粘土質の鉱物を細かくして使う無機顔料の総称です。鉄の酸化物や水酸化物を主な発色成分とするオーカー、シエナ、アンバーが代表例で、採取地の成分と焼成の有無が黄、赤、褐の色調を分けます。
解説
土性顔料は、天然の土や粘土質の鉱物を細かくした無機顔料です。粉末を結合材に混ぜ、塗膜を作る顔料の仲間に入ります。オーカー、シエナ、アンバーは、鉄を多く含む土から得られる代表的な名称で、色は鉱物の種類と混じる成分で決まります。
オーカーは、粘土と鉄酸化物を含む自然由来の土性顔料で、淡黄から深い赤までを含む名です。黄色や褐色は水を含む鉄酸化物、赤は水を含まない鉄酸化物と関係します。黄色のオーカーを焼成(加熱して性質を変える工程)すると、赤色のオーカーが得られます。
シエナは、黄褐色のオーカーの一種で、産地として知られたイタリア中部の都市名に由来します。アンバーは、酸化マンガンと鉄の化合物を含む黄褐色の土性顔料です。どちらも焼成によって赤みを増した「バーント」の色が作られます。
オーカー、シエナ、アンバーのような鉄系の土性顔料は、先史時代から絵画、陶器の化粧土、釉薬に使われてきました。鉄を含む土は地域によって砂、石灰、石膏、ケイ酸塩などの混じり方が異なります。その違いが、同じ色名でも明るさ、透明感、着色力の幅になります。
現代の画材には、天然の土から作る製品と、合成した酸化鉄を使う製品があります。十八世紀末に現れた合成の黄土は「マーズイエロー」の名で販売されました。名称に採取地、製造年、メーカー表示、分析結果を重ねることで、材料の由来を読む手掛かりが得られます。
保存科学で土性顔料を調べる時、XRF(蛍光X線分析)は、X線を当てて試料の元素を読む方法です。黄色や赤の部分で鉄を検出する結果は、オーカーなど鉄を含む土性顔料の候補を示します。粒子の形、色層の重なり、文書記録も加えると、候補の範囲を狭められます。
占い・創作では、土地から採れた色が画面に積み重なる工程から、土性顔料を記憶、居場所、継続の象徴として読むことがあります。この読みは、素材の由来と制作工程を起点にした比喩です。鉱物の組成や保存状態を示す説明とは、役割を分けて置きます。