象徴
ヴァーミリオン
ゔぁーみりおん意味
ヴァーミリオンは、人工的に作った赤い硫化水銀(HgS)を主成分とする顔料です。天然鉱物のシナバー(辰砂)と化学組成は同じですが、鉱物名と顔料名、天然由来と合成由来を分けて記録します。
解説
硫化水銀は、水銀と硫黄から成る化合物です。ヴァーミリオンには、密閉した容器で水銀と硫黄を加熱する乾式法と、硫化物の溶液を使う湿式法という製造法があります。どちらの製法でも赤い顔料を得ますが、材料の履歴、粒子、製造時期は同じではありません。歴史資料でcinnabarとvermilionが近い意味で使われることもあるため、記録の言葉だけで天然か合成かを決めません。
天然のシナバーは硫化水銀の鉱物で、粉にして赤色顔料として使われてきました。メトロポリタン美術館は、シナバーを天然鉱物、ヴァーミリオンを顔料として区別しつつ、赤い漆や壁画などに硫化水銀系の赤が使われた事例を紹介しています。赤く見える範囲があっても、層の位置、結合材、ほかの赤色顔料との混合によって、使われ方は異なります。
材料調査では、蛍光X線分析で水銀を検出すると、硫化水銀系顔料の候補を考えられます。蛍光X線分析は元素を読む方法なので、水銀が見つかっても天然のシナバーか合成ヴァーミリオンかまでは区別できません。ラマン分光、X線回折、顕微鏡による粒子観察、制作記録を合わせて、材料名と由来の確度を検討します。
ボストン美術館の調査資料には、浮世絵版画の収集印にヴァーミリオンが使われた例があります。これは特定の作品群で確認された使用例です。印の赤、漆の赤、絵画の赤をひとつの意味にまとめず、地域、時代、技法とともに読んでください。
出所の分からない古い赤い粉末や塗膜は、色から安全性を判断しません。硫化水銀を含む可能性がある材料を削る、砕く、加熱する作業は行わず、保存修復と安全管理の専門家に相談します。占いや創作でヴァーミリオンを読むなら、しるしとして置かれた赤を手掛かりに、何を明確に示すかを考える比喩にできます。これは文化史と画材の使われ方から広げた表現上の読みです。