象徴
ビリジアン
びりじあん意味
ビリジアンは、水和酸化クロムを主成分とする、深く透明な合成緑色顔料です。透明なクロム酸化物とも呼ばれますが、エメラルドグリーンや不透明なクロムグリーンとは別の材料として読み分けます。
解説
ビリジアンの主成分は、水を含む酸化クロムで、化学式はおおむね Cr2O3・2H2O と表されます。顔料の粒子が透ける性質を持つため、濃い緑を薄い層で重ねたり、ほかの色と混ぜて色調を整えたりする用途に向きます。緑に見えることだけから、同じ成分や同じ製法の顔料だとは決めません。
パリのパネティエによる製法は一八三八年に見いだされ、ギニェは一八五九年に、より安価な製造法の特許を得ました。十九世紀の絵画では、同じ頃に広がったエメラルドグリーンと混同された記録もあります。ロンドンのナショナル・ギャラリーは、ビリジアンを透明な水和酸化クロム、エメラルドグリーンを銅とヒ素を含む別の顔料として区別しています。
作品を調べる時は、クロムが検出されたことだけでビリジアンとは結論づけません。粒子の見え方、赤外分光やラマン分光による材料の特徴、絵具層の位置、制作時期を照合して候補を絞ります。顔料名は、作品中の材料を説明するために、調査結果から組み立てる仮説です。
創作や占いでビリジアンを手掛かりにするなら、薄い層を重ねて緑を整える画材の性質から、急いで答えを固定せず、条件を重ねて見るという問いへつなげられます。これは絵画技法から広げる表現上の読みで、顔料が人の性格や出来事を示すという事実ではありません。