象徴
テールヴェルト
てーるゔぇると意味
テールヴェルトは、セラドナイトや海緑石を主な成分とする、灰緑色系の天然土性顔料です。フランス語でグリーンアースを意味する名で、油彩では透明感があり、下の色を覆う力は強くありません。
解説
セラドナイトと海緑石は、鉄を含む緑色系のケイ酸塩鉱物です。これらを含む土を砕き、粒子を選んで使う顔料がグリーンアースで、テールヴェルトはそのフランス語名です。色は黄緑、海のような青緑、灰みを帯びた緑まで幅があり、採取された土に含まれるほかの鉱物も見え方に関わります。
テールヴェルトは、鮮やかな緑を強く覆い隠すための顔料ではありません。油彩では透けるような層になりやすく、着色力と隠ぺい力は控えめです。ナポリ黄とプルシアンブルーを混ぜ、テールヴェルトに似せた色が作られることもあるため、緑の見た目や販売名だけで天然土性顔料だと決めることはできません。
中世の絵画では、肌の赤や桃色を重ねる前に、顔の下地へテールヴェルトを置く技法が使われました。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、この緑の下塗りが上の暖色を中和し、より自然な肌色を作る役割を持ったと説明しています。上の赤色顔料が退色すると、隠れていた緑が目立つことがあります。
顔の下塗りのほかに、テールヴェルトはローマ時代エジプトの彩色資料に緑から淡い青緑の部位として残っています。そこでは、セラドナイトが主な鉱物として検出されました。用途を考える出発点は、顔料名より層の位置です。上に重なる色、結合材、作品の制作技法を確かめると、画面での役割を検討できます。
材料調査では、蛍光X線分析で鉄、マグネシウム、カリウムなどの情報を得て、赤外分光でセラドナイトの特徴を確かめます。銅が検出されないことは銅系の緑色材を除く手掛かりになりますが、それだけでテールヴェルトを断定はできません。断面観察、ほかのケイ酸塩鉱物、混色の可能性を照らし合わせて候補を絞ります。
占いや創作でテールヴェルトを読むなら、暖色の下に置かれて最終的な肌色を支える働きから、表に見える印象を支える準備や調整を考える比喩にできます。これは絵画技法から広げる表現上の読みです。顔料の緑が人の性格や健康を表す、という意味にはしません。