神話

モルペウス

もるぺうす 別名:Morpheus

意味

モルペウスは、ローマ詩人オウィディウスの『変身物語』に登場し、夢の中で人間の姿を再現する神格です。眠りの神ソムヌスの多数の息子の一人で、顔、歩き方、声、服装まで似せる役を担います。

解説

『変身物語』第11巻では、夢が取る姿を三つに分けています。人間を再現するのがモルペウス、獣・鳥・蛇をまねるのがイケロスまたはフォベトール、岩・水・木など生命のない物を表すのがパンタソスです。オネイロイは夢を人格化した存在の総称であり、モルペウスはその中の人間役に当たります。

物語では、ユノが使者イリスを眠りの神ソムヌスのもとへ送り、船で亡くなったケユクスの姿を妻アルキュオネの夢に見せるよう命じます。ソムヌスに選ばれたモルペウスは、濡れた髪と青ざめた顔で亡きケユクスの外見を作り、声と身ぶりも本人に似せて死を知らせました。人の外見をまねる能力が、物語の中で何のために使われたかが分かる場面です。

夢を人格化する表現はホメロス以来の古典文学にありますが、モルペウスという名と詳しい役割を確認できる古典資料は『変身物語』のこの場面に限られます。広く信仰された古代ギリシャの「夢の主神」とする説や、後世の絵画にある持物を古代共通の図像とする説は、根拠が不足しています。

夢占いでモルペウスを参照する場合、この物語は、夢に現れた人物と自分の記憶や人間関係を照らし合わせる視点になります。夢に現れた人物から、神託や未来が証明されることはないため、現実の情報との区別が必要です。誰の姿だったか、何を話したか、最近その人を思い出す出来事があったかを記録します。