哲学・心理

父親コンプレックス

ちちおやこんぷれっくす

意味

父親コンプレックスは、ユング心理学で、父親にまつわる記憶やイメージが感情と結び付き、他者との関係にも影響すると考えられる心のまとまりです。

解説

日常語のコンプレックスは劣等感を指すことが多い一方、ユング心理学では、愛着や尊敬、恐れなどと結び付いた記憶や考えもその範囲に入ります。父親コンプレックスを考える時の対象は、本人の心に形づくられた父親像です。実際の父親との経験に、期待や理想の父親像なども重なっていると考えます。

たとえば、上司からの指摘に強く落ち込み、父親の期待に応えようとしていた頃を思い出す場面が、振り返りの例になります。そこで考えるのは、今の相手への反応と過去の経験に、どのような結び付きがあるかです。相手が実際に言った言葉と、自分がそこから想像した評価を分けると、その関係を検討しやすくなります。

こうした理解は、本人の経験を聞きながら検討する仮説です。カードから父親を連想しても、それだけで親子関係や人格を判断することはできません。また、実際に受けた暴言や威圧は、相手の行動として考える必要があります。心の反応を振り返ることと、現在の関係で距離や安全を確保することは、両方とも大切です。