神話

アキレウスの教育

あきれうすのきょういく

意味

アキレウスの教育は、若い英雄が、人の上半身と馬の胴をもつ賢者ケイロンから、音楽、狩猟、医術、騎乗を学ぶ神話図像です。少年とケンタウロスの師弟、竪琴、弓矢、狩猟道具、蛇が巻きつく杖が、作品ごとに教育の分野を示します。

解説

アポロドーロス『ビブリオテーケー』では、母テティスが去ったあと、父ペレウスが幼いアキレウスをケイロンへ託します。ケイロンは獅子、猪、熊の内臓や骨髄を与え、少年を養いました。この本文が伝えるのは養育の始まりと特別な食事で、学んだ科目の詳細は後代の文学や美術に広がりました。

紀元前二世紀から一世紀のものとされるウォルターズ美術館の指輪石では、髭のあるケイロンが、竪琴を持つアキレウスへ音楽を教えます。『イリアス』にも成長したアキレウスが竪琴を奏でる場面があり、指輪石の彫刻はその音楽的素養を師弟の授業として見せています。

プラド美術館のルーベンス工房作《アキレウスの教育》は、ケイロン自身の馬の身体を使った騎乗訓練を中心に据えます。蛇が巻きつく杖を持つアスクレピオス像は医術、竪琴を持つ女性像は音楽、犬や弓矢、獲物は狩猟の印です。少年と向き合う姿勢と教材の配置が、乱闘場面のケンタウロスから教師ケイロンを見分ける手がかりになります。