神話
イカロスの墜落
いかろすのついらく意味
イカロスの墜落は、父ダイダロスが羽と蝋で作った翼による脱出で、息子が高く昇りすぎ、翼を失って海へ落ちる神話図像です。空中の父子、ほどける羽、落下する若者、海面から出る脚が、飛行から死までの段階を示します。
解説
オウィディウス『変身物語』では、ダイダロスが羽を糸と蝋でつなぎ、息子へ海面にも太陽にも寄りすぎない中間の航路を教えます。飛ぶ喜びに駆られたイカロスが高く昇ると蝋が溶け、父を呼びながら海へ沈みました。ダイダロスは残った翼を見つけ、息子を葬ります。
作品が選ぶ瞬間によって、父子の距離は変わります。ポンペイ出土のローマ壁画で選ばれたのは、ダイダロスが飛び続ける下でイカロスが海へ落ちる瞬間です。一方、ブリュッセル王立美術館の《イカロスの墜落のある風景》では、水面の脚と羽が控えめに置かれ、周囲は仕事を続けています。この絵の作者は未確定です。オウィディウスに登場する漁師、羊飼い、農夫は飛ぶ父子を見上げ、神々だと思いました。周囲が仕事を続ける構図は、この風景画が選んだ表現に当たります。
忠告から外れた高揚や、技術を使う判断への問いは、後世の寓意的な読みです。羽と蝋、海上の父子はイカロスを示し、暴走する馬、壊れた戦車、雷光があればパエトンの墜落へつながります。斜めに落ちる身体や散る羽は、対角線構図によって速度を強められる要素です。