占星術

歳差補正

さいさほせい

意味

歳差補正は、ある基準時点の平均赤道・平均分点に対する座標を、別の基準時点へ回転変換する計算です。時代の異なる赤経・赤緯を同じ土台で比べられます。

解説

計算を始める前に、元の座標が参照する座標系、平均赤道と平均分点の基準時点、変換先の日付を確かめます。元期は、星表や座標の基準となる特定の日時です。J2000.0のような表示は、その座標をどの基準へ結びつけたかを示します。

赤経・赤緯は、まず単位ベクトルへ直します。採用した歳差モデルの回転行列を掛け、変換先の赤経・赤緯へ戻すのが基本手順です。国際天文学連合のSOFAには、IAU 2006歳差モデルを使う行列計算が実装されています。春分点の平均移動量を各座標へ一律に足す方法では、天球上の場所に応じた変化が失われます。

歳差行列で得るのは、指定日の平均赤道・平均分点に基づく座標です。指定時刻の真赤道・真分点へ進む場合は、周期的な軸の揺れである章動を次の段階で加えます。視位置を求める計算には、光行差や重力による光の偏向など別の補正も入ります。

恒星の位置を別の年代へ移す時は、座標格子を回す歳差と、恒星自身の空間運動を表す固有運動を分けて計算します。近い恒星では年周視差や視線速度も関係するため、星表に記録された元期と運動量も計算条件へ加えます。

占星術では、古い資料の恒星度数を対象年の恒星合へ使う時などに歳差補正が関係します。トロピカル黄道とサイデリアル黄道の原点差を表すアヤナーンシャは、黄道方式を選ぶための値です。座標変換の条件と占術上の方式を記録すると、同じ配置を再計算できます。