占星術

歳差

さいさ

意味

歳差は、地球の赤道面と軌道面の向きが長い時間をかけて変わり、天の極や分点の基準が移る現象です。天球上の座標を異なる時代の間で比べる時に関係します。

解説

地球は赤道方向に膨らんだ形です。この膨らみに太陽や月などの引力が加わると、向きを変えるトルクが生まれ、天の極は黄道の極の周りを約2万6000年規模で巡ります。赤道面と黄道面は現在約23.4度傾いており、極の経路は角半径約23.4度の円です。

この軸方向の変化を赤道歳差と呼びます。一方、惑星の引力は地球の軌道面そのものを変え、黄道歳差を生じさせます。両方を合わせた、赤道と黄道の相対的な変化が一般歳差です。日常的な説明でいう地軸の首振りは、その中心となる赤道歳差を表しています。

春分点と秋分点は、天の赤道と黄道が交わる二点です。歳差によって春分点は黄道上を恒星に対して西向きに年約50秒角移ります。そのため、恒星が同じ空間方向にあっても、分点を原点とする赤経や黄経は時代とともに変わります。恒星自身の空間運動である固有運動は、別の変化です。

歳差だけを反映した赤道と分点を「平均」、周期的な章動まで加えた指定時刻の基準を「真」と呼びます。精密な計算では、IAU 2006歳差とIAU 2000A章動のように採用モデルも指定します。座標には基準時点と平均・真の別が必要です。

トロピカル黄道は春分点を牡羊座0度に置くため、原点が歳差とともに恒星に対して移ります。サイデリアル黄道は選んだ恒星基準との原点差をアヤナーンシャで定めます。ここまでは座標方式の関係であり、サインや恒星へどの意味を与えるかは占術上の解釈です。