哲学・心理

知識の分析

ちしきのぶんせき 別名:analysis of knowledge・知識分析・知識の条件

意味

知識の分析とは、「ある人が、ある事柄を知っている」と言えるための必要条件と十分条件を明らかにする、認識論の研究課題です。主に「何々であると知る」という命題的知識を対象にし、真であること、本人が信じること、根拠があることに加え、根拠と真実の結び付きが偶然に左右される問題を検討します。

解説

知識の分析が対象とするのは、「Aさんは、面接が月曜日だと知っている」のような文です。面接が実際に月曜日であるという真理の条件、Aさんがそう信じているという信念の条件、その信念を支える連絡や記録があるという根拠の条件を順に分けます。正答や確信だけを根拠に判定すると、真実へ到達した経路を取りこぼします。そこで、経路まで条件に含めるのがこの分析の特徴です。その経路を必要条件と十分条件の組合せで表すことで、「知る」が成り立つ範囲を探ります。

二十世紀の議論で出発点となった候補が、「正当化された真なる信念」、略してJTBです。この三条件説は知識の標準的な候補として知られています。ただし、歴史上の一貫した定説という位置付けには検討が必要です。現在の研究でも、三条件を必要条件とみなすか、別の条件へ置き換えるか、知識をより基本的な概念と考えるかで見解が分かれています。

プラトンの『テアイテトス』は、真なる判断と知識を区別する陪審員の例を示します。法廷で正しく説得された陪審員を通じ、正しい判断だけで知識と言えるのかが問われる場面です。対話は続いて「説明を伴う真なる判断」を検討します。しかし、説明について挙げられた複数の案は退けられ、知識の定義を確定しないまま終わる対話篇です。プラトンが現代のJTBを完成した定義として提示して採用した、という要約は、この結末を取りこぼします。古典上の問いと二十世紀の定式化は分けてたどる必要があります。

ゲティアは一九六三年、正当化、真理、信念の三条件を満たしながら、知識から外れる二つの事例を示しました。ある人が十分な証拠にもとづいて誤った前提を信じ、そこから正しく導いた別の文が偶然に真だった場合、その人には正当化された真なる信念があります。真になった理由と本人の根拠が噛み合っていないため、この事例は知識の条件から外れます。このずれが、ゲティア問題の中心にある認識的な幸運です。

占いでは、引いたカード、向き、配置は記録できる事実です。「この配置は契約成立を示す」は占術上の解釈です。後に契約が成立した読みを知識と評価するには、一致に加えて、成立を支えた資料、反対の結果になり得た条件、読みと結果を結ぶ経路を調べる必要があります。認識論、正当化された真なる信念、ゲティア問題の三ページは、研究領域、三条件説、偶然の一致が残る理由を順に説明し、的中と知識の境界を明らかにします。