哲学・心理

認識論

にんしきろん 別名:epistemology・知識論・knowledge theory

意味

認識論は、何を知識と呼べるか、信念がどのような根拠で正当化されるか、知り得る範囲はどこまでかを研究する哲学分野です。その研究範囲は、知識の条件、源、限界に及びます。

解説

認識論の中心には、「知っている」と言える条件を明らかにする課題があります。プラトンの対話篇『テアイテトス』では、知識を知覚、真なる判断、説明を伴う真なる判断として捉える案が順に検討され、最終的な定義は未確定のままです。この結末から、候補と反例を比べながら知識の定義を探る古代の議論が分かります。

知識の源として論じられる代表例は、知覚、内省、記憶、推論、証言です。窓の外を見て雨を知る場合と、天気予報を聞いて知る場合では、信念が生じた経路が異なります。さらに、ある情報が信念を生じさせたという因果上の説明と、その信念を持つことが認識上適切だという正当化の説明は区別が必要です。見間違い、記憶違い、信頼できない報告があるため、情報源と反対証拠を併せて調べます。

知識を「正当化された真なる信念」とする分析は、長く重要な出発点でした。ゲティアは1963年、信念が正当化され、偶然に真となっても、知識とは言いにくい事例を提示しました。その後の知識分析は、偶然の一致をどう除くかを検討しています。認識論の研究対象は、知識の定義から、デカルトの方法的懐疑に代表される懐疑論、正当化の構造、理解、合理性、証言や制度を介した社会的な知識まで広がります。

判断を整理する時は、まず調べたい内容を一つの命題にします。その命題が現在真だと示す資料、信じた本人、信念が生じた情報源、本人が持つ理由、反対証拠、判断を更新する条件を分ける手順です。「専門家が言ったから」という記録だけでは、誰がどの分野について、どの資料から判断したのかが欠けます。主張と根拠の対応を書けば、確実に分かる範囲と保留すべき範囲を示せます。

タロットでは、「引いたカードは月だった」「障害の位置に置かれた」は観察で確かめられます。「月は不確かさを表す」は採用した占術体系についての説明で、「相手が事実を隠している」は第三者についての主張です。ここで認識論から得られるのは、主張と根拠の関係を整理する問いです。どの主張が、カードの観察、占術理論、相談者の証言、後日の記録のどれに支えられているかを分けられます。