哲学・心理

知覚的知識

ちかくてきちしき 別名:perceptual knowledge・知覚による知識・感覚的知識

意味

知覚的知識は、見る、聞く、触れるなどの知覚経験を通して、外界の対象や状態について知ることです。知覚経験が生じたことと、その経験にもとづく判断が真で十分に支えられることは、分けて考える必要があります。

解説

机の上の赤い本を見て「赤い本がある」と知る場面は、知覚的知識の基本例です。この時、赤く見えるという経験、机上の対象についての判断、その判断が真であることが関係します。照明で白い表紙が赤く見えた場合は、知覚経験があっても「赤い本がある」という判断は誤りです。経験の存在は一つの段階で、外界についての知識には真理と正当化も関わります。知覚経験が判断をどのように支えるかが、認識論上の課題です。

錯覚、幻覚、夢は、知覚が知識を与える仕組みを考えるための事例です。デカルトの第一省察は、感覚が誤る場合と夢の可能性を用いて、現在の経験から外界について確実に知れる範囲を問い直しました。この議論は、真実に見える経験と誤りを含む経験の双方を踏まえ、知覚的な信念を正当化する条件を説明する課題を示します。全ての知覚を誤りと数える結論とは異なります。

知覚的な信念を支える条件には、三つの方向から説明があります。第一は、経験の内容が本人に利用できる理由を与えると考え、経験と信念の関係を中心に置く立場です。第二は、知覚過程の信頼性や、対象から経験へ至る適切な因果関係を条件にします。第三の方向には、成功した知覚経験へ対象そのものが関わることを重く見る理論があります。どの条件を十分とするかは、知覚の形而上学と正当化の理論にまたがる争点です。

日常の観察は、見え方、外界についての主張、照合資料の三つに分けると整理できます。「画面が暗く見える」は見え方、「端末が故障した」は原因についての主張です。明るさ設定、別の画面、他者の観察などを照合すると、知覚経験を否定せずに原因候補を絞れます。知覚は多くの場面で知識を支えますが、距離、照明、注意、期待などが判断へ影響する可能性も残ります。

タロットでは、カード名、向き、配置、使用デッキの図像を観察事実として記録できます。「赤い衣が描かれている」は観察の記述であり、「赤は情熱を象徴する」「人物の向きは未来への関心を示す」という文は、採用した図像解釈や占術体系にもとづく占術上の解釈です。さらに「相手が情熱を隠している」は第三者の内心についての主張で、その真偽は本人の発言や行動などから判断する対象です。観察、象徴解釈、外界についての主張を順に書くと、知覚が支える範囲を示せます。