哲学・心理
ケア倫理
けありんり 別名:care ethics・ethics of care・ケアの倫理意味
ケア倫理は、人が互いに支えられて生きる事実を出発点に、関係の中で生じる必要と責任へ目を向ける倫理の立場です。誰が何に困り、どのような支えを望み、その負担を誰が担うかを具体的に検討します。親切な気持ちに加え、本人の意思、支援の質、力関係、公平な負担も判断の対象です。
解説
権利や一般原則を中心に考える方法には、同じ条件の人を公平に扱える利点があります。一方、乳幼児、高齢者、病気の人を支える場面のように、立場に差があり、関係から離れにくい状況へ注目するのがケア倫理です。必要を感じ取った後は、相手の声を聞き、役に立つ支援を行います。その受け止め方まで確かめ、支援の質を見直す過程も倫理上の課題に当たります。
現代のケア倫理が形を取る契機となったのは、心理学者キャロル・ギリガンが1982年に発表した研究です。ギリガンは、権利や規則を優先する語りに加えて、関係と責任を重視する道徳的な語りがあると論じました。その後、ネル・ノディングズは人と人との応答関係を倫理理論として掘り下げ、ジョアン・トロントらはケアを家庭内の行為から制度や政治の問題へ広げました。現在の議論では、ケアを女性だけの性質と結び付ける見方への批判も共有されています。
実際の判断では、本人が表した必要と、周囲が推測した必要を分けることが出発点です。続いて、望む支援、同意を確かめる方法、支援する側の能力と負担、途中で方法を変える条件を整理します。支援を受けた人の反応は、提供者の善意が本当に役立ったかを見直す判断材料になります。家族だけに負担が集中している場合は、福祉サービスや職場制度など、関係を支える仕組みも検討対象です。
ケア関係には、善意と同時に権力差が入り込むことがあります。相手のためという理由で選択を奪う、支援する人が限界まで負担を背負う、身近な人を優先して必要の大きい人を見落とすといった問題です。このため、本人の意思と秘密を尊重し、支援する側が休める条件を整え、資源の配分を公平さの観点から見直します。ケアと正義は具体的な場面で互いを補い、必要と公平さの両方を捉える観点です。
タロット相談で事実として確かめられるのは、相談者が語った希望、生活時間、費用、頼れる人、断りたいことなどです。カードに描かれた人物や物も図像上の事実ですが、そこへ支援や関係の意味を与える文は占術上の解釈です。解釈を伝える時は、相談者が望む助け方を尋ね、本人が選べる案として返します。医療、法律、金銭、差し迫った安全に関する判断には、各分野の情報と専門的な支援が必要です。