神話

ヒュアキントス

ひゅあきんとす

意味

ヒュアキントスは、ギリシャ神話で音楽の神アポロに愛された青年です。円盤投げの最中に命を落とし、その血から花が生まれる物語を通じて、亡くなった人を悼み、記憶を残すことと結び付いています。

解説

ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』では、二人が円盤投げを楽しんでいる時に事故が起こります。円盤は、遠くへ投げる競技に使う平たい円形の道具です。アポロが投げた円盤を拾おうと青年が駆け寄ると、硬い地面から跳ね返った円盤が顔に当たりました。アポロは手当てを試みますが、傷は致命的でした。

アポロが青年を歌に残すと誓うと、地面に流れた血から紫色の花が生まれます。花びらには、嘆き声を表す「AI AI」という文字が記されました。花に悲しみを刻むこの場面が、ヒュアキントスと哀悼を結ぶ物語上の根拠です。

別の伝承で円盤をそらしたのは、西風の神ゼピュロスです。古代の絵を言葉で描写した『エイコネス』には、アポロに怒ったゼピュロスが青年へ円盤を向けたとあります。ここでは青年の死が、アポロに向けられた怒りの結果として語られます。

物語の花と、現在栽培されるヒヤシンスが同じ植物かは確定していません。『変身物語』が伝えるのはユリに似た紫色の花で、近代の訳注には別の植物に当てる説もあります。