象徴
ピュグマリオンの像
ぴゅぐまりおんのぞう 別名:Pygmalion's statue・Pygmalion statue意味
ピュグマリオンの像は、ローマの詩人オウィディウスが『変身物語』第10巻で語った、象牙から生命を得る女性像です。彫刻家ピュグマリオンの祈りをウェヌスが受け入れ、像は人間になります。創造、理想化、主体性という意味は、物語と後世の受容から導く解釈です。
解説
物語の舞台はキプロスです。ピュグマリオンは象牙を彫り、生身の女性に見える像を作ります。像へ衣服や首飾りを着け、花や贈り物を持たせ、寝台へ横たえる描写もあります。これらは物語本文に書かれた行動です。像を理想や創作への愛の象徴と読む段階では、本文の出来事から現代の意味を導いています。
ウェヌスの祭日に、ピュグマリオンは象牙の女性に似た妻を願います。家へ戻って像へ口づけると、象牙は温かく感じられ、指で押すと柔らかくなる描写です。もう一度触れた時には脈が感じられ、女性は目を開き、初めて空と恋人へ視線を向けます。硬い素材が体温、柔らかさ、脈、視線を得る順序が、物体から生きた人への変身を具体的に示します。
オウィディウスの本文に、生命を得た女性の固有名は出てこないと確認できます。「ガラテア」は後世の文学や美術で広まった呼び名です。古代本文を説明する時は「像」または「象牙の女性」とし、後世の作品名を紹介する時にガラテアという名を添えると、成立時期の違いを保てます。
後世の美術は、原典にない場面や人物も加えました。ジャン=レオン・ジェロームは、像が生命を得てピュグマリオンへ応じる瞬間にエロスを描きました。エロスはジェロームが加えた図像です。ロダンは、女性の身体が未完成の石から現れる姿で変身を表しました。各作品の像、素材、動き、神の姿は、その作品を見て確かめる必要があります。
原典が詳しく語るのは、ピュグマリオンの行動と像の変身です。女性が生命を得た後の言葉や選択に、本文が割く言葉はわずかです。そのため現代の受容では、創作者が自分の理想を女性像へ与える構図や、相手の主体性が語られない点も論じられています。この主体性の読みは、本文の語り方を現代の観点から検討した解釈として位置づけます。
タロットや図像では、像の材質、彫刻家の手の位置、像が動く前か後か、ウェヌスやエロスが描かれているかを事実として記録できます。そこから創造、願望、投影、支配、相互性へ進む部分は占術上の解釈です。自分が決めた理想と、相手が実際に述べた希望を別々に書くと、理想化という読みを人間関係の確認へ移せます。