神話

ステュムパロスの鳥

すてゅむぱろすのとり

意味

ステュムパロスの鳥は、アルカディアのステュムパロス湖周辺に群れ、ヘラクレスの難業の対象となった怪鳥です。偽アポロドロスでは、アテナが授けた青銅の鳴り物で森から飛び立たせ、ヘラクレスが弓で射ます。

解説

偽アポロドロス『ビブリオテーケー』は、この鳥をヘラクレスの第六の難業に置きます。深い森に囲まれた湖へ無数の鳥が逃げ込み、ヘラクレスは追い出す方法に迷いました。そこでアテナが、鍛冶神ヘパイストスから受け取った青銅のクロタラ、つまり打ち合わせて大きな音を出す鳴り物を渡します。音に驚いて飛び立った鳥を、ヘラクレスが射落としました。

偽アポロドロスが青銅製と記す対象はクロタラです。鳥の羽や嘴については、材質の説明を省いています。パウサニアスは、ステュムパロス湖に人を食う鳥がいたという話と、強い嘴で武具を貫くアラビアの同名の鳥を続けて紹介しました。ただし、両者が同じ種類かは分からないと本人も記しています。青銅の羽、人食い、鋭い嘴という特徴を一つの固定像へまとめる前に、どの古代資料の記述かを分ける必要があります。

図像に描かれた退治の方法も複数あります。紀元前540年ごろのアッティカ黒像式アンフォラを大英博物館は、ヘラクレスが投石紐で十六羽の白鳥状の鳥を攻撃する場面と説明しています。一方、偽アポロドロスの本文は弓を使う筋です。パウサニアスが見たステュムパロスのアルテミス神殿には、軒近くの鳥の彫刻と鳥の脚を持つ少女像があり、物語と土地の祭祀にも複数の造形があったことが分かります。