神話
エリュマントスの猪
えりゅまんとすのいのしし意味
エリュマントスの猪は、アルカディアの山地からプソフィスを荒らし、ヘラクレスが生きたままミュケナイへ運んだ猪です。アポロドロスでは第四の難業に当たり、深い雪へ追い込んで疲れさせ、捕らえます。
解説
アポロドロスによると、王エウリュステウスが命じたのは、エリュマントス山からプソフィスへ下りて土地を荒らす猪の生け捕りでした。ヘラクレスは茂みから猪を大声で追い立て、深い雪の中へ追い込みます。雪に足を取られて疲れたところを捕らえ、ミュケナイへ運びました。生け捕りの成否は、山の地形と冬の雪を使って力を制御できるかにかかっています。
猪を追う途中、ヘラクレスはケンタウロスのポロスを訪ねます。酒の匂いで集まったほかのケンタウロスたちと戦いになり、ポロスもヘラクレスの毒矢を手に取った際の事故で命を落としました。ヘラクレスはポロスを葬ってから猪を追います。この挿話は難業へ向かう道中で起きた別の悲劇で、捕獲方法を説明する場面とは区別できます。
ディオドロスは、この課題を第三の命令と数え、猪の住みかをアルカディアのランペイア山とします。生きたまま捕らえるには、逃がさない強さと、殺さない加減の両方が必要だと記しました。猪を肩に担いで帰ると、エウリュステウスは恐れて青銅の大容器へ身を隠します。一方、大英博物館のアッティカ式赤絵杯では、王がピトスと呼ばれる大型の貯蔵壺に入る帰還場面です。古代の本文と壺絵は、生け捕りの成功を共有しながら、王が隠れる容器の表し方に違いがあります。