象徴

参加神秘

さんかしんぴ

意味

参加神秘は、主体が人や物との境界をはっきり分けられず、相手と部分的に同一であるかのように感じる関係を指す歴史的な概念です。フランス語の participation mystique をレヴィ=ブリュルが人類学で用い、ユングが心理学へ取り入れました。

解説

ユングは『心理学的類型』で、主体と対象の区別が曖昧になり、直接の結び付きが部分的な同一化にまで及ぶ状態と定義しました。幼児期だけの現象に限らず、成人同士の転移や、物や考えへの強い同一化にも当てはめています。投影によって自分の期待や感情を相手の性質として経験すると、境界がいっそう見えにくくなります。

この語が成立した二十世紀初頭の人類学は、人々を「原始的」と「文明的」に分ける枠組みを用いていました。ユングの記述にも、現代の観点では民族中心的と評価される表現が残っています。参加神秘は関係の中で起こる経験を考える歴史的な用語に限定し、文化や個人の発達段階の順位付けから切り離します。

占いで「カードが自分を知っている」「相手も同じ気持ちだ」と強く感じた時は、その一体感自体を経験として受け止め、確認できる事実と分けます。カードの図像、本人の連想、相手が実際に述べた言葉、同意の範囲を並べると、感情の強さだけで他者の内面を決める危険を減らせます。