哲学・心理
投影の撤回
とうえいのてっかい意味
投影の撤回は、他者や物に属すると感じていた性質や期待について、自分の無意識から生じた部分を見いだし、自分の課題として引き取る作業です。相手について確かめられる事実と、自分の連想、感情、予想を分けることで、現実の関係を捉え直します。
解説
ユングは投影を、主観的な内容が対象の性質であるかのように経験される、自動的な心理過程として説明しました。本人が意図的に作る想像とは異なり、投影された性質は相手の側に実在するものとして経験されます。相手に実在する性質まで自分の問題へ回収すると現実との区別が崩れるため、撤回の過程では観察できる言動と自分の連想を照らし合わせます。
撤回が必要になる手掛かりは、強い感情を伴う期待と、実際の経験とのずれです。例えば、初対面の人を「私のことを完全に理解する人」と感じた後、相手の言動とその期待が合わなくなった場面が入り口になります。何に惹かれ、過去のどの関係でも似た反応をしたかを追うと、自分へ戻す部分が見えます。
占いで相手の本心を推測した時は、カードの図像、そこから浮かんだ連想、相手が実際に述べた言葉と行動を別々に記します。本人の内面を断定するには、言葉や行動といったカード以外の根拠が必要です。暴言や約束違反は現実に起きた行動として記録し、安全と境界を決める材料にします。