神話

ラマシュトゥ

らましゅとぅ

意味

ラマシュトゥは、古代メソポタミアで、とくに妊婦や乳児に害を及ぼすと恐れられた女性の魔神です。メソポタミアは現在のイラクを中心とする地域で、彼女を追い払おうとした人々は、魔除けの品である護符に、その姿や呪文を刻みました。

解説

メトロポリタン美術館の護符では、火山活動でできる天然ガラスの黒曜石に、人と動物を組み合わせた姿が彫られています。人に似た胴体に獅子のような頭と、鋭い爪のある鳥の足を備えた姿です。周囲に描かれた櫛や、糸を紡ぐ道具である紡錘は、彼女をなだめるための贈り物と解釈されています。

恐れる相手の姿を魔除けにする仕組みは、像と一緒に刻まれた呪文から分かります。この護符の呪文は神々に彼女の追放を求める内容で、くさび形の筆画からなる楔形文字で像を囲んでいます。像と文字を組み合わせ、災いの原因と考えた相手を封じ込めようとしたのです。

別の護符には、風の魔神パズズがラマシュトゥを退ける場面もあります。ルーヴル美術館の青銅板では、舟に乗ったロバの上にラマシュトゥが描かれ、裏面には板をつかむパズズの姿が刻まれています。当時の人々は、パズズの恐ろしい力をラマシュトゥへ向けようとしました。危険な存在の力で別の危険を退けるという、古代の防護の考え方です。

これらの品は、出産や病への不安に人々がどう向き合ったかを伝えます。呪文に病の原因として名が現れても、現代の症状を霊的な存在のしわざと判断する根拠にはなりません。