神話
ナブー
なぶー 別名:Nabu・Nebo意味
ナブーは、文字、書記術、知恵を司り、ボルシッパを主要な祭祀地としたメソポタミアの神です。神々の決定を記す書記官としてマルドゥクに仕え、後にはその息子とされました。尖筆や一本の楔形文字が、ナブーを示す標章になります。
解説
ナブーの中心神殿エジダは、バビロンに近い都市ボルシッパにありました。初めはマルドゥクの書記官や宰相として現れ、カッシート期以降にはマルドゥクの長男という系譜が広まります。最初から一貫して父子だったと考えると、職務上の関係から家族関係へ組み直された経緯を見落とします。
書記の守護神であるナブーは、粘土板へ文字を刻む人や、文書を収める人に祈られました。書記が写本の末尾に加える奥付にも名が記され、学識と正確な伝承を支える神として敬われます。シュメールの古い伝統ではニサバが文字と計算を守護しており、ナブーの地位が高まるにつれて書記神としての役割が彼へ移りました。
前一千年紀の新年祭では、ナブーの神像がボルシッパからバビロンへ運ばれ、マルドゥクの祭礼に加わりました。この往来は、二都市と二神の関係を公の儀礼で示します。後代に加わった水星との対応は、書記神としての職能とは成立の経緯が異なります。
古代美術に見られるナブーの標章は、葦の尖筆や一本の楔形文字です。書板や台座の上に置かれるほか、ムシュフシュという蛇と竜を合わせた聖獣に乗る標章も残っています。同定の根拠には、楔形の印に加えて、周囲の銘文やほかの標章が必要です。現代の象徴解釈として、このサイトでは決定を記録へ変える責任、知識を正確に受け渡す務め、書いた言葉が後の行動を拘束する重みを考える題材です。