象徴

七つの門

ななつのもん 別名:冥界の七門

意味

七つの門は、シュメール語物語『イナンナの冥界下り』で、女神イナンナが地下世界の宮殿へ入るために順番に通る関門です。各門で王権や神性を示す装身具・持物を外され、最後に衣まで失います。

解説

『イナンナの冥界下り』は、古バビロニア時代の複数の粘土板断片から本文を再構成したシュメール語の物語です。イナンナが冥界の入口ガンゼルへ着くと、門番ネティは冥界の女王エレシュキガルへ来訪を伝えます。エレシュキガルは七つの門を閉じ、イナンナを一門ずつ通すよう命じました。門を通る条件は冥界側が決め、イナンナから選択権を奪います。

ETCSLの合成本では、門を通るたびに、頭の冠、ラピスラズリのビーズの首飾り、卵形の二連の首飾り、胸飾り、金の指輪、ラピスラズリの物差しと測り縄、パラ衣が順に外されます。パラ衣は女主人の身分を示す衣、物差しと測り縄は権威を示す持物です。第一の門には、持物の順序が異なる写本もあります。そのため、七品の配列は写本ごとの照合が必要です。各門でイナンナは抗議しますが、冥界の掟だと告げられます。

七門を越えたイナンナは身を低くされ、冥界の神々の裁きを受けて死体に変えられます。後に蘇生しても、地上へ戻るには身代わりを差し出す条件が残りました。装身具を外す反復から、地位や保護を失う境界通過を読むのは物語に沿う解釈です。一方、不要なものを自ら手放して成長するという読みは現代的な比喩で、本文の強制性や帰還条件とは分けます。

占いや物語分析で七つの門を用いる時は、最初に外される物を特定します。次に、誰の規則で外すのか、拒否できるのか、戻る条件があるかを確かめます。後代のアッカド語『イシュタルの冥界下り』にも七門と衣装を外す場面がありますが、シュメール語作品とは別の作品です。二つの物語を参照する場合は、女神名、言語、本文、品物の順序を作品ごとに区別します。