象徴
アイボリーブラック
あいぼりーぶらっく意味
アイボリーブラックは、歴史的には象牙を焼いて作った、きめが細かく青みを帯びる黒色顔料です。現在は、骨炭を細かくした材料にプルシアンブルーを加えた製品にもこの名が使われるため、名称だけで原料を決めることはできません。
解説
アイボリーブラックは、画材の黒を区別するための歴史的な顔料名です。ボストン美術館の保存科学データベースCAMEOとGettyの美術・建築用語集は、もともとは象牙を焼いた高級で緻密な黒色顔料だったと説明しています。木や油を燃やして煤を集めるランプブラック、炭化水素を熱分解して作るカーボンブラックとは、原料と製法が異なります。黒く見えることだけを手掛かりに、これらを同じ材料だと考えないことが大切です。
現在「アイボリーブラック」として売られる画材には、骨を焼いた骨炭を細かくした材料が使われることがあります。骨炭は、炭素とともにカルシウムのリン酸塩を多く含む材料です。CAMEOの記録には、細かな骨炭へ少量のプルシアンブルーを加えた現行配合が載っています。象牙という名だけでは、個々の製品や作品の原料は分かりません。製造元の表示や分析記録を確かめる必要があります。
保存科学でも、黒い色だけでアイボリーブラックや骨炭を特定することはしません。たとえば走査電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析は、粒子を拡大し、含まれる元素を読む方法です。Gettyの絵画調査では、カルシウムとリンが多い黒色層から骨炭の可能性が示されましたが、下地が不均一なため、その情報だけでは確定できない例も報告されています。層の位置、ほかの材料、制作時期、文献記録を重ねると、黒色顔料の候補を絞り込みやすくなります。
占いや創作でアイボリーブラックを読むときは、黒い層を重ねて画面の奥行きを作る表現から、目立たない前提を見直すことや、問いの背景を確かめる時間を連想する場合があります。これは黒の画面効果をもとにした現代の比喩です。顔料の原料や作品に残る分析結果を示す説明とは、同じ意味にしません。