象徴

鉛白

えんぱく

意味

鉛白は、塩基性炭酸鉛を主成分とする、下の色を覆う力がある歴史的な白色顔料です。古代から十九世紀まで絵画の主要な白に用いられ、油彩では乾燥の進み方にも関わりました。ただし鉛を含むため、古い塗膜や粉末を削る、砕く、研磨する作業には専門的な安全管理が必要です。

解説

顔料は、細かな粒子を油や膠などの結合材と混ぜ、表面に色の層を作る材料です。鉛白には、ハイドロセラサイトという塩基性炭酸鉛の結晶が多く含まれることがあります。結晶とは、原子の並び方が規則的な固体を指します。古い製法の記録では、金属鉛を酢酸と二酸化炭素を含む環境で変化させ、炭酸鉛系の生成物を得ました。材料の種類や割合は製法と条件で変わるため、歴史的な鉛白を一つの均質な粉末だとは考えません。

鉛白は、ほかの色材に混ぜると色を明るくし、半透明になりやすい層に不透明さを加える働きを持ちます。ロンドンのナショナル・ギャラリーによるラファエロ作品の調査では、肌を描く層に土系の顔料や赤色レーキと鉛白を組み合わせ、目の白や鼻先の強い光に、より明るい配合が見いだされました。白を読む際は、明るさを入口にし、層の位置と周囲の色との働きを比べます。

作品に鉛白があるかを調べる際、蛍光X線分析は材料に含まれる元素を読む手掛かりになります。白い部位で鉛を検出した場合、鉛白の可能性を考えられますが、それだけで断定はできません。ほかの鉛を含む顔料、層の位置、結合材、制作時期を合わせて判断します。

鉛白の明るさは、時間とともに変わることがあります。環境や支持体、結合材、隣り合う材料との関係によって、茶色や黒に近づく例が報告されています。紙や羊皮紙で黒色の硫化鉛が生じる場合、硫黄を含む環境との関係が論点です。変化の現れ方は作品ごとに異なるため、保存状態を確認したうえで原因を検討します。

古い絵具、剥離片、建物の塗膜に鉛白があるかは、見た目だけでは判断できません。粉じんを出す作業は健康上の危険につながるため、自分で削ったり研磨したりせず、出所や時期を確認したうえで、専門の調査・保存担当者に相談します。占いまたは創作で白を読む場合は、光、余白、見通しという印象から、今ある状況を明るく整理する視点として使えます。この読み方は表現上の解釈です。