象徴

胡粉

ごふん

意味

胡粉は、牡蠣などの貝殻を粉砕・精製して作る、炭酸カルシウムを主成分とする白色顔料です。日本画や人形に使われる現在の胡粉は貝殻由来ですが、古い資料では同じ名が鉛白を指す場合もあります。

解説

顔料は、細かな粒子を膠や油などの結合材と混ぜ、表面に色の層を作る色材です。胡粉では、牡蠣殻を砕いて不純物を除いた白い粒子を使います。東京文化財研究所は、日本絵画の胡粉を牡蠣殻由来で炭酸カルシウムを主成分とする白色材料と説明しています。白い部分を描くほか、薄く重ねる描写や、ほかの色の明るさを整える用途にも使われました。

胡粉という名は、資料の年代で意味が変わります。国立国会図書館の保存資料では、板牡蠣の殻から作る白色顔料を胡粉としながら、鎌倉時代頃までは鉛白を指す語だったと説明しています。鉛白は鉛を主成分とする別の白色顔料です。古い作品や記録で胡粉という語を見つけても、現在の貝殻胡粉だとすぐには決めません。制作時期、記録、色層の分析を重ねて、どの白色材料かを確かめます。

東京文化財研究所の『動植綵絵』に関する解説では、貝殻胡粉は奈良時代あるいはそれ以前にまでさかのぼる可能性が示され、絵画の白色顔料として主流になるのは室町時代以降と考えられています。同じ白でも、白土は粘土質の材料、方解石は鉱物、チョークホワイトは炭酸カルシウム系の白色材料名です。原料、粒子、作品中の層を分けて見ると、白という見た目だけでは分からない制作の選択が見えてきます。

占いや創作で胡粉を手掛かりにするなら、下地を整えてから細部を描き加える工程から、準備、見通し、まだ描かれていない余白を読むことがあります。これは画材の使われ方を起点にした現代の比喩です。作品の年代や材料を示す説明と混同せず、問いに対する解釈として位置付けます。