哲学・心理

夢の補償機能

ゆめのほしょうきのう

意味

夢の補償機能は、起きている時の考え方の偏りを、夢が別の視点から補うというユング心理学の考えです。夢の意味を、本人の生活やその時の心の状態との関係から探ります。

解説

ユングは、意識が一つの目標や判断に集中すると、それに合わない感情や考えが見落とされると考えました。夢にそうした内容が現れ、物事の捉え方を調整する過程を「補償」と呼びます。夢が示す内容には、日頃の態度と反対のもの、その態度に別の要素を加えるもの、今の方針を後押しするものがあるという説明です。

日常に置き換えた例として、何でも一人でやるべきだと思っている人が、誰かに助けられる夢を見た場面を考えてみます。本人が夢の中で安心したなら、普段は意識していなかった「助けを借りたい」という気持ちを考えるきっかけになるでしょう。ただし、同じ場面に窮屈さを感じる人もいます。解釈は、夢を見た人の連想や実際の暮らしと照合する仮説です。

タロットの図柄と夢を比べる場合も、夢に出た人物や出来事、その時の感情を分けて言葉にすると、本人の経験を保ったまま連想を広げられます。カードの定番の意味を、そのまま夢の答えに当てはめるのは早計です。夢の補償機能は心理的な意味を考えるための理論であり、未来の出来事を確定する根拠とは区別されます。

悪夢が繰り返され、睡眠や日中の生活に支障がある時は、医療機関への相談が必要です。夢の意味を考えることと、睡眠の問題への支援は分けて進められます。