哲学・心理

夢の前向き機能

ゆめのまえむききのう

意味

夢の前向き機能は、夢がこれから意識にのぼる態度や行動を、試案のように先取りする場合があるというユングの考えです。夢が描く先行きは、現在までに蓄えられた知覚や記憶を組み合わせた試案です。未来予知という主張は、この概念の範囲を超えます。

解説

ユングは『夢心理学概論』で、前向き機能を、将来の意識的な達成を無意識が先取りする働きと説明しました。夢の象徴が、葛藤の解決や次の行動を下書きのように示す場合があるという理論です。夢を過去の原因へ戻して読む還元的解釈に、これから形成される方向を問う見方を加えました。

ただし、ユング自身も、この機能の過大評価を戒めました。夢は、意識が見落とした知覚や記憶を組み合わせ、先の展開を早く描くことがあります。そこで示されるのは、現実との照合を要する確率的な試案です。現在の偏りを補う働きと、次の可能性を試す働きが、一つの夢に重なる場合もあります。

夢を記録する際は、見た日、当時の問題、夢から考えた選択肢、その後の結果を分けて残すと、後から確かめられます。タロットの未来位置に出たカードも、予定、必要な準備、別案を検討する材料です。出来事の見通しは、期限、資源、関係者の合意など現実の条件と照らして判断します。