哲学・心理
権威への服従
けんいへのふくじゅう 別名:obedience to authority・権威服従意味
権威への服従とは、権限があると受け止めた人物から明確な指示を受け、反対や不安を抱えながらも従う行動です。服従の程度は状況によって変わり、権威の正当性、指示者や行為を受ける相手との距離、周囲の反応、目的への同一化が判断に関わります。
解説
ミルグラムは一九六三年、四十人の男性参加者に「教師」の役割を割り当て、別室の「学習者」が誤答するたびに電気刺激の強度を上げるよう求めました。装置の表示は十五ボルトから四百五十ボルトまで段階的に上がり、実験者は中止をためらう参加者へ続行を促しました。学習者役は演技者で、装置から電気刺激は流れない設計でした。それでも二十六人が最大表示まで操作を続け、指示と良心的な抵抗が衝突する場面での行動が記録されました。
一九六五年に報告された変法では、学習者の声を聞く条件、同じ部屋にいる条件、参加者が学習者の手を電極板へ置く条件が比べられました。行為を受ける相手が近づくにつれて、最大表示まで続ける参加者の割合は下がっています。バーガーは二〇〇六年、参加者の事前審査を行い、学習者が最初に明確な抗議をする百五十ボルトで手続きを止める部分追試を実施しました。七十人の結果は、その地点を越えて続けようとする行動が、元の実験から四十五年後にも観察されたことを示します。
これらの研究が直接示すのは、研究室で実験者の指示を受けた参加者の行動です。その割合が示す範囲は、この研究室内の手続きに限られます。ハスラムとライヒャーは資料の再検討から、参加者が命令に機械的に従ったという説明に異議を唱え、科学への貢献という目的に同一化した「積極的な追随」を提案しました。権威への服従が生じた理由には複数の説明があり、実験結果と理論的な解釈を分けて理解する必要があります。
占いの相談では、解釈、根拠、相談者に求める行動を別々に伝え、断る選択と考え直す時間を確保します。健康、法律、金銭に関する決定は、該当分野の専門家と公的情報を基準にします。同調は周囲の多数派や仲間に行動を合わせる現象、認識的権威は知識を持つ相手を情報源として信頼する関係、ハロー効果は一つの好印象が別項目の評価へ広がる現象です。権威への服従では、明確な指示が本人の判断に反する行動を続けさせたかを調べます。