哲学・心理
情報カスケード
じょうほうかすけーど 別名:information cascade・informational cascade・情報のカスケード意味
情報カスケードとは、人が順番に意思決定し、先に選んだ人の行動は見える一方、その人が得た個別情報は見えない状況で、後続者が自分の個別情報を判断から外し、先行者と同じ選択を続ける現象です。個人には合理的な追随でも、集団全体では誤った連鎖になり得ます。
解説
ビクチャンダニ、ハーシュライファー、ウェルチは一九九二年、先行者の行動から情報を推測する逐次意思決定モデルを示しました。単純な二択モデルでは、最初の二人が同じ行動を選ぶと、三人目は自分の個別情報が反対方向を示しても先行者へ続くことがあります。後続者も同じ判断をすると、行動の列は長くなり、後続者の個別情報が行動に反映される機会は失われます。この連鎖は初期の少数意見に左右され、外部から新しい公開情報が加わると向きが変わる脆い構造です。
アンダーソンとホルトは一九九七年、二種類の壺のどちらが選ばれたかを当てる実験でモデルを検証しました。各参加者は壺から引いた玉を個別情報として受け取り、先に参加した人の予想だけを見て、順番に回答します。正答には報酬があり、先行する予想に偏りが生じた回の多くで、理論が予測するカスケードが形成されました。個別情報と公開された行動を実験者が分けて記録したため、回答が続いた回数と、参加者が自分の情報を判断から外した場面を区別して調べられます。
実験では、なぜ同じ行動列が生じたかも検討されてきました。キュブラーとヴァイツゼッカーの二〇〇〇年の実験では、参加者の行動をベイズ推論で説明する証拠は少なく、自分の個別情報へ従う単純な方略の方がデータに合いました。長い意思決定列を調べた二〇〇七年の実験では、カスケードは一時的で、反転した後に正しい状態へ移る場合が多く見られています。情報カスケード理論が示すのは、追随が合理的になる条件です。実際の行動列の原因を判定する際は、計算の誤り、集団から外れたくない気持ち、報酬の仕組みも候補に加えます。
占いサービスの人気順位や口コミを見る時は、最初の評価がどの経験から生まれ、後の評価が独自の経験を加えているかを追います。内容、料金、解約条件、個人情報の管理を自分の基準で調べ、先行する評価と別に記録します。人気そのものが魅力を高める場合はバンドワゴン効果、集団に受け入れられるため判断を合わせる場合は同調が中心です。情報カスケードを見分ける鍵は、先行者の行動を情報源とみなした結果、本人の個別情報が判断に反映されなくなったかにあります。