象徴

茶色

ちゃいろ 別名:brown・ブラウン・褐色

意味

茶色とは、黄から赤に近い色相領域で、周囲より暗い表面として知覚される幅広い色名です。同じ色刺激でも周囲の明るさによって橙色にも茶色にも見えるため、茶色の範囲は観察条件に応じて動く知覚上の分類です。

解説

内川らは一九八九年、マンセル色票を暗い視野へ単独で置いた条件と、周囲に無彩色の面を置いた条件を比べました。単独の色票は発光する色のように見え、茶色と答えられる例はほぼなく、多くが橙色と呼ばれました。ごく細い白い縁を加えただけでも茶色の知覚が戻っています。この結果から、刺激の色度と、表面を囲む明暗関係の両方が茶色の知覚を支えると分かります。

篠森とヴェルナーは二〇二三年、中央の色度と周囲の輝度を変え、茶色に見える範囲を測りました。茶色は色みの信号と明暗の信号が組み合わさる対比色であり、判断には観察者間の差も表れています。照明、背景、画面か実物かを変えると見え方も動くため、色見本の名称だけで作品中の茶色を特定する方法には限界があります。

米国国立標準局の色名辞典では、茶色、赤みの茶色、黄みの茶色、灰みの茶色などがマンセル表記に対応して整理され、明度と彩度の異なる複数の領域が茶色系の色名として使われています。土、木、茶、革に見られる色は身近な例で、素材名は色の由来を伝える手掛かりです。アンバーや土性顔料は鉄やマンガンを含む顔料の材料と由来を表し、知覚上の色名である茶色とは分類の軸が異なります。

ヨナウスカイテらは二〇二〇年、三十か国、二十二言語の参加者四千五百九十八人に、十二の色名と二十の感情概念の結び付きを尋ねました。茶色は全体で感情との結び付きが最も少なく、回答には国、言語、地理による違いもありました。土、木、日常、古さなどの連想は文化と用途を伴う解釈です。カードや作品では、素材、光、周囲の明るさ、赤みや黄みを観察事実として残し、その後に時代背景と物語に合う象徴を選びます。